2024年4月29日月曜日

第25話 一回の裏 一対六 一アウト 八番打者マナさん

神否荘のとんちきな住人と、その管理人である主人公の青年と、近所のとんちきな人達の、ほのぼのニートフル日常コメディです。

書き下ろしたばかりで校閲はまだの状態です。
2024/05/12追記※校閲/修正が終わりました。

本文は追記からどーぞ。

第25話 一回の裏 一対六 一アウト 八番打者マナさん


「じゃあ田中君、手加減してくださいね♪」

 バッターボックスに立つマナさんを見て、田中さんがヴァイブレーション機能を実装したみたいに全力で震え始めた。「たたたたーいむ! タイムを要求しますよ俺は!」全力で挙手しまくってる田中さんだ。
「たーいむ! 俺はタイムを認めるぞにーさん!」ナモの主張も激しい!「どしたぁ~? お腹空いてきちゃったか~?? お昼休憩しちゃう?」ずっとお昼休憩してるみたいな奴に言われちゃったよ。
「待ってください! 総帥にボールを放るなんて事できませんよ俺は! 命が惜しい!!」メチャクチャ言ってる田中さんだ。「後藤! 代わってくれ後藤!!」
「やだぁー! 俺だって命が惜しい!!」後藤さんも泣いてる。「吉田! 吉田どうだ吉田!!」
「嫌に決まってんだろろろろー!? 俺も命が惜しいよ!」命が惜しい人ばっかりだな戦隊モノのヒーローなのに。「このまま田中投げて田中! 俺は無理! 命が惜しい!!」どんだけ命が惜しいんだ。
「やだぁ~!! ああーん! 俺だって命が惜しいよぉ~!! ああーん!!」田中さんが号泣してる……
「どうすんのこれ」ナモに声を掛ける俺だ。「もう試合どころじゃないお」
「困った困った」全然困った風に見えないナモだ。「こういう時ゴリ蔵さんが居れば何とかなったのにな~帰ってこないからなぁ~」どこまで行っちゃったんだろうねゴリ蔵さん。
「そこのバットさんに投げて貰えば良いだろ~。その図体は飾りかお前~」血塗れのシンさんが煙草をぷかぷかしながら野次ってる。「ボール一つ放り投げられずにバットさん名乗ってんじゃねーよ」酷い言われようである。
「……」バットさんも心なしかしょんぼりしてる。「わかった、なげよう」バットさんが遂にマウンドに!
「おっ、じゃあプレイボー! バットさん、とっとと投げてとっとと」とっとと投げ太郎だねナモ。
「手加減お願いねぇ~」おっとりとしたマナさんだ。「頑張っちゃうわよ~」子供用のバットを握り締めて可愛く振り被ってる。可愛い。
「……フンッ!」ノーモーションでボールは投げられ、目に見えない速度でボールがミットさんのミットに納まった。
「ストライーク! ワンストライクだお、マナさんこれは無理かなぁ~?」ナモが実況席から煽ってる!
「バットお前ェーッ! 総帥が手加減しろって言ってただろ聞いてなかったのかテメェーッ!」突然田中さんがバットさんに詰め寄った!「あんなボール打てる訳ねェーだろ常識的に考えて! ダメダメダァーメェー! 赤ちゃんでも打てるような球にして赤ちゃんでも打てるような!」メチャクチャ言ってる!
「むり」バットさんがフルフル首を振ってる。「そんなたま、なげられない」
「バットォーッ! それじゃダメなんだよバットォーッ! 総帥が悲しんじゃうだろォーがよォーッ!」吉田さんもバットさんに詰め寄ってる!「総帥に愉しんで貰う為には犠牲も必要なんだよ! 分かるか!? 分からねェならマウンド降りろテメエコラ!」ヤンキー感がしゅごい!
「むり、むり」バットさんがフルフル首を振ってる。「このままだと、まける。まける、やだ」
「バットおい、テメェ野球で負けるのと、今すぐ俺達にここで滅多打ちにされるのどっちをご所望だ、ン?」後藤さんもバットさんに詰め寄ってる!「俺達はどっちでも構わねえぜ、テメェーの全身が蒸発するレヴェルで破壊されるか、総帥が野球を楽しめるか。二つに一つだ今すぐ決めろアァン!?」この人達どう考えても正義の味方を名乗って良い存在じゃないよ。
「…………」バットさんがしょんぼりしてる。「わかった、てかげん、する……」すげー嫌そうだ……
「プレイボー! タイムも無しに話し合いしてるんじゃーないよー何で味方同士で乱闘一歩手前みたいになってるの? 大乱闘ゲーか??」ナモナモ、スマッシュなブラザーズみたいなゲームじゃないよ野球って。
「…………」バットさんがボールを投げずに、ミットさんに向かってコロコロ転がした。
「てやぁ~」ナモさんが弱々しい動きで、ゲートボールみたいに地面を転がってくるボールを打ち返した!
 しかし弱過ぎて全然転がらない! 三塁側にそそっ、と転がっただけですぐ止まってしまった。
「ウオオーッ!」それを凄まじい速度で捕球する後藤さんだ!「ウオオーッ!」そしてボールを思いっきり投げて、ボールは場外へ。
「へぁー!?!?!」バットさんが壊れた悲鳴を上げた!「なにしてるぅーっ!?!?!」
「これで総帥はホームランだ、文句は言わせねぇぜ……」一仕事終えた感で汗を拭ってる後藤さんだ。「総帥はゆっくりランニングホームランしてくださいね! ゆっくりで良いですよ!」グッとサムズアップまでしてる。
「はーい♪ よっこらしょ、どっこいしょ、ふぅ、ふぅ」
 マナさんは言われた通り、たっぷり時間を掛けて塁を回り、無事ホームランになった。
「…………」バットさんが見るも無残な姿でしょげ返ってるのがもう見てられない感じだった。流石にカワイソス……

🌟後書

 やがて3週間振りぐらいの最新話更新になりました! お待たせ致しましたーッ!
 と言う訳でマナさんの回と言いつつ田中さん、後藤さん、吉田さんの回です(笑)。やりたい放題野球なので、もう敵味方関係無しに暴れ回って頂きました!w 彼らはほんとやりたい放題立ち回ってくれるので、綴るのが楽しくて楽しくてww
 さて、いよいよ次回で神否荘チームの打者が一巡してしまう訳ですが、未だにワンナウトです。まさかの1回の裏でコールド負けしてしまうのか!? 乞うご期待です!w
 と言った所で今回はこの辺で! ここまでお読み頂き有り難う御座いました!

2 件のコメント:

とみ さんのコメント...

更新お疲れ様ですvv

3週間ぶりぐらいだと予測変換もいつもと違って若干緊張が走っています。お元気ですか?
やっぱりこの3人が絡むと荒れる展開になりますねwwでもそれが気持ちいいんだwこうでなくっちゃ!最高です!!
それにしてもゲートボールみたいにボールを打ち返すマナさん、可愛すぎでは?ww

バットさん…なんていうか…しっかりね。

えっと、打者一巡?最後はあの妹様ですかwゴリ蔵様お早くお戻りになってぇぇぇ~v

今回も楽しませていただきました!
次回も楽しみにしてますよーv

夜群椿 さんのコメント...

>とみちゃん
感想コメント有り難う御座います~!(´▽`*)

予測変換がいつもと違うぐらいには間が空いてしまいましたねwwwwこれは今回の感想も楽しみだ…!www(;゚д゚)ゴクリ…
ほんとそれwwwこの3人は荒らしに荒らしてくれるので最高ですwwwwww(笑) 「最高です!!」頂きましたーっ!!! 私も最高です!!!!!┗(^ω^)┛
可愛いですよねマナさんwwwwお婆ちゃん感をふんだんに表現してみましたが、功を奏したみたいで良かったです…!(´▽`*)

バットさんはもうね、うん…www 強く生きて欲しい…!www(笑)

そう、遂に打者一巡です! ゴリ蔵さん、いつになったら帰って来るのやらwww(笑)

今回もお楽しみ頂けたようで嬉しいです~!
次回もぜひぜひお楽しみに~!